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Vol.11 高脂血症のはなし

高脂血症とその原因

高脂血症とは血液中の脂質が多くなり過ぎた状態をいいます。血液中の脂質には、コレステロール・リン脂質・中性脂肪(トリグリセリド)・遊離脂肪酸の4種類があり、主なものはコレステロールと中性脂肪です。コレステロールと中性脂肪の両方、またはどちらかが高くなりすぎると高脂血症となります。

高脂血症はそれ自体ではあまり問題にはなりませんが、その状態が続くと、血管に異変が起こり、心臓病や脳血管障害の原因となる動脈硬化を引き起こします。動脈硬化を起こす原因は他にもありますが、特に高脂血症と動脈硬化は密接にかかわり合っています。


高脂血症 ⇒ 動脈硬化 ⇒ 心臓病・脳卒中等 ⇒⇒ 死の危険!

※高脂血症は自覚症状がない病気で、知らないうちに進行することが多いので注意しましょう。


現在の日本では総コレステロール値は上昇傾向であり、2001年の厚生労働省調査では、高脂血症と判定される男性は25%、女性は35%程度となっています。女性ホルモンには、LDL(悪玉)コレステロールの増加を抑え、HDL(善玉)コレステロールを増やすはたらきがあるため、閉経を境に総コレステロール値が上昇することが多いのです。

日本で高脂血症患者が急増している原因として、食事の内容、特に、飽和脂肪酸(動物性脂肪に多く含まれている)の摂取量が大きく関与していることが指摘されています。日本人の食生活は、穀物・野菜・魚が中心の食事から、肉中心の欧米風の食事に変化し、動物性脂肪の摂取量が急カーブで増えました。この傾向は若者に特に顕著で、若年層のコレステロール値を引き上げる原因にもなっています。そして、このことから、今後さらに高脂血症患者が増えると予想されています。 この食生活の変化は大腸がん患者の増大にもつながっています。


高脂血症を誘発する生活習慣

○ 食べ過ぎや脂っこいものなど高カロリーの食事
○ コレステロールや飽和脂肪酸を含む食品の摂りすぎ
○ お菓子や果物の食べすぎ
○ アルコールの飲みすぎ・喫煙
○ 運動不足
○ ストレスが多い(肝臓でのコレステロールや中性脂肪の合成が促進される)



コレステロールを多く含むLDLは、肝臓で作られたコレステロールを体内の細胞に運ぶ役目を果たしますが、 血液中に増えすぎると血管壁の細胞内に蓄積して動脈硬化を引き起こす原因になります。 そのため、一般的に悪玉コレステロールと呼ばれています。 一方、たんぱく質を多く含むHDLは、各部位の細胞で使いきれなかった余分なコレステロールや動脈壁に蓄積したコレステロールを回収して肝臓に運ぶ役目をします。 そのため善玉コレステロールと呼ばれます。LDLが多過ぎたり、HDLが少ないとバランスが崩れ、組織中にコレステロールがたまることになります。

血液中のLDLとHDLのバランスが大切となります。



高脂血症の診断基準

血清脂質 適正域 境界域 異常域 診断
総コレステロール(TC)
200未満
200〜219
220以上
高コレステロール血症
LDLコレステロール(LDL)
120未満
120〜139
140以上
HDLコレステロール(HDL)
40以上
40未満
低コレステロール血症
中性脂肪(トリグリセリド)
150未満
150以上
高中性脂肪血症

※高脂血症は血清脂質から測定する。血清中の総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪を測定し、LDLコレステロールは測定式から計算される。 また、最近ではLDLを血液から直接に測定する検査法もあり、こうした検査を行う医療機関も増えている。

※コレステロールの数値は、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリドの結果から算出する。

LDLコレステロール値 =
総コレステロール値 − 0.2 × 中性脂肪値 − HDLコレステロール値


食事療法で注意することは、食べ過ぎによる肥満です。コレステロールが多く含まれる、卵の黄身・肉の脂身・魚卵(うに、数の子、いくら、たらこ、ししゃも等)・イカ・エビなどは控えましょう。

また、緑黄色野菜、大豆製品、海藻類、きのこ類、こんにゃく等は食物繊維が豊富で、血中コレステロール値や血糖値を調整し、腸内の有害物質を排出するなどのはたらきがあります。これらはカロリーも低いのでたくさん摂りましょう。

青背の魚(さば、いわし、さんま等)には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸が含まれていて、コレステロール値を低下させるはたらきがあります。

バターやマヨネーズは使わずに植物性のドレッシングを使うようにして、「揚げ物・炒め物」よりも「網焼き・ゆでたもの・蒸したもの」にしてなるべく油を摂らないように心がけましょう。 同じ高脂血症でも、コレステロール値が高いタイプと、中性脂肪値が高いタイプ、また進行の程度によって、食事療法の内容が異なりますので注意しましょう。

運動療法では、運動することによって心肺機能が高まり血液の循環が良くなります。 そして、LDLコレステロールや中性脂肪の分解が活発になり、HDLコレステロールが増えます。継続的に運動習慣を身につけることによって、太りにくい体質になるようです。 しかし、日頃から運動習慣のない人が、急に激しい運動をすると思わぬ負担を体にかけてしまうことがありますから、無理なく長く続けられる有酸素運動(酸素を大量に取り入れ体内で消費する)が適しているようです。 これは、脂質をエネルギー源とするので体への負担が少なくてすむようです。

※朝晩に10〜20回程度大きく深呼吸をするだけでもチョッと効果があるようですよ!



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